働いている方が年末になると必ず行う手続きの1つに「年末調整」が挙げられます。
正社員が実施するイメージを持つ方もいますが、パートやアルバイトといった働き方をしている方も対象です。
しかし、ダブルワークをしていると、年末調整をどうすれば良いのか悩むケースもあるはずです。
そこで今回は、ダブルワークの年末調整や確定申告といった情報をお伝えしていきます。
ダブルワークをしている方やパートとして働いている方は、ぜひ参考にしてみてください。
■ダブルワークとは
2つ以上の仕事を掛け持ちして働くことをダブルワークと言います。
例えば、午前中はスーパーでのレジのバイトをし、夜には塾講師として働くスタイルがダブルワークです。
接客業や飲食店、引越しやクラウドソーシングを利用したフリーランス、日雇労働といった職種がダブルワークとして人気です。
ダブルワークは、基本的にどちらも本業ではなく、パートやアルバイト、フリーランスや非正規雇用として働いていることが一般的となっています。
収入アップが期待でき、自分の予定に合わせて勤務することも可能です。
職場が2つになるため、新しい人間関係を築くこともできます。
ただし、スケジュールは自分で管理しなければいけません。
うまくスケジュール管理ができなければ、同じ時間や同じ日に仕事を入れてしまうといったミスをする可能性もあるため注意しましょう。
■年末調整とは
企業が従業員に支払った給与から源泉徴収した税額の年間合計金額と本来徴収すべき所得税の1年間の総額を再計算して過不足を調整して年税額を一致させる手続きを年末調整と言います。
扶養家族が増えたり、子どもが不要から外れたりすれば、納税額も異なるため正しい納税額を確定させるためにも必須となる制度となります。
年末調整は基本的に企業に在籍している従業員全てが対象です。
そのため、パートやアルバイトとして働いている方も原則として年末調整を行う必要があります。
◎年末調整の対象となるパートやアルバイトとは
パートやアルバイトといった働き方でも原則として年末調整は実施されます。
しかし、年末調整の対象になるには「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の提出が必要です。
年末調整は、企業が従業員の代わりに所得税を計算して国に対して納付します。
その際には、所得税法に基づいて「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出した従業員を対象に年末調整を実施するため、申告書を企業に提出していなければ企業は年末調整を実施できないのです。
また、以下のいずれかの項目に当てはまる方も年末調整の対象です。
・1年を通して企業に勤務している
・年度途中入社で年末まで続けて勤務している
・心身の障害を理由に年度途中退社し、年内の再就職が見込まれない方
・年度途中で退職したパートやアルバイトで年収が103万円以下の方
・海外転勤などによる非居住者となった方
◎年末調整の対象にならないパートやアルバイトとは
以下に当てはまる場合は対象にはなりません。
・給与収入額が2,000万円以上
・災害減免法の規定に基づき所得税の源泉徴収の納税猶予や還付を受けている
・2ヶ所以上から給与支払いを受け、他の勤務先に扶養控除等申告書を提出している
・年度途中で退職し、対象となる人に当てはまらない場合
・非居住者
・年末調整を実施する時期までに扶養控除申告書を企業に提出していない方
・継続して同一の雇用主に雇用されていない日雇い労働者
■ダブルワークの年末調整
ダブルワークをしている場合、年末調整で悩んでいる方もいるはずです。
ダブルワークでは、企業に雇用されていれば年末調整の対象となります。
しかし、年末調整ができるのは1箇所の企業のみです。
これは、扶養控除等申告書が1箇所の勤務先にしか提出できないためです。
複数の勤務先に提出してしまえば控除が重複して正しい課税額が計算できなくなるため注意してください。
そのため、ダブルワークをしている方は、給与支払額が多い側の企業で年末調整を実施します。
その場合は、申告書を受けた企業が本業として扱われ、もう一方の企業は副業となります。
副業として扱われる方の所得合計額が20万円を超える際には、確定申告が必要です。
確定申告は、納税者本人が所得を基にして所得税額を申告する手続きとなり、所得から経費や控除額を引いて、正しい所得税額を申告し、納税しなければいけません。
その結果、所得税を多く払い過ぎていた場合には、確定申告によって還付される仕組みです。
副業として扱われるダブルワークのもう一方での所得が20万円以上あるにも関わらず、確定申告を実施しないと無申告加算税が課せられる可能性もあります。
延滞税が発生してしまえば、負担が重くのしかかるので注意してください。
■年末調整に必要な書類
企業は、一般的に12月の給与支払いの時期に合わせて年末調整を行うため、毎年11月頃に準備をスタートさせます。
配布される用紙は以下の通りです。
・給与所得者の保険料控除申告書
保険料控除を受ける際に必要となる書類です。
地震保険や生命保険に入っている際には、必要事項を記載し、証明書類の添付をして提出する必要があります。
・給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書
基礎控除や配偶者控除、所得金額調整控除を受ける際に必要となる書類です。
配偶者の租特が給与所得のみとなり、所得額48万円~133万円以下であると、必要事項を記載することで配偶者特別控除を受けられる仕組みです。
・給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
次の年の給与所得で扶養控除や障碍者控除などを受ける際に必要となる書類です。
扶養家族がいない場合でも提出しなければいけません。
それぞれの書き方がわからない場合には、企業側に相談してみてください。
また、毎年同じような事項を記載する場合は、コピーを取っておくのもおすすめです。
毎年必要な時期にコピーした用紙を用意すれば、それを参考に記載できます。
■書類提出忘れ時の対応
年末調整では書類を作成する必要があるため、時間がないと記述を後回しにしてしまうケースもあります。
そのまま放置してしまえば、提出を忘れてしまう場合もあるので注意が必要です。
万が一、締め切りまでに書類を提出できなければ、企業の担当者に相談してみてください。
年末調整の手続きが終了していない段階であれば、書類を受け付けてくれる可能性があります。
ただし、年末調整を既に終えていた時には、翌年に行われる確定申告で必要書類を添付して申告する必要があります。
翌年2月15日から3月15日までは確定申告の期限となるため、忘れないよう申告してください。
今回は、ダブルワークの年末調整について解説してきました。
パートやアルバイトといった働き方に関わらず、扶養控除等申告書を提出していれば年末調整の対象です。
しかし、ダブルワークの場合は一方のみの企業でしか年末調整を実施できないので、もう一方の勤務先で所得が20万円を超えているのなら、自分で確定申告をする必要があります。
どちらも必要書類があるため、提出忘れないように準備しておきましょう。
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