こんにちは!ヴェルサスのブログ担当です。
高齢者の入居している介護施設や老人ホームでは、それぞれの体調や食べる力に合わせた食事が提供されます。
毎日の食事を楽しみにしている人も多くいますが、介護施設や老人ホームの食事では気をつけたい点がいくつもあります。
今回は、食事の注意点や介助の方法について説明していきます。
■高齢者が食べたくても食べられない理由
普段食べている食事でも、高齢になると身体機能が衰えてしまい、いつもと同じスピードで食べることも難しくなってしまいます。
なぜ、高齢者になると食べたくても食べられなくなってしまうのでしょうか?
〇噛む力が弱くなる
高齢になると筋肉が弱くなり、食べ物をかみ砕く力も衰えてしまいます。
さらに丈夫な歯が少なくなった状態であれば、さらに噛む力も弱くなります。
これらの状態があれば硬い食べ物を噛む力が弱くなるだけでなく、食べにくさから避けるようになり、さらに噛む力が弱まってしまうのです。
〇消化器官が衰える
口の中で食べ物を噛み砕くと胃の中に運ばれていきますが、胃や小腸などの消化器官の衰えによって、食べたいのに食べられないという状況になってしまいます。
胃は加齢によって粘膜が萎縮してしまい、胃酸の分泌も少なくなります。
また胃の弾力も年齢で衰えてしまうため、大量の食べ物を胃にためこむこともできなくなるだけでなく、小腸に運んでいくペースも遅くなってしまうのです。
また小腸の消化液の分泌能力が低下し、消化吸収のスピードも遅くなると、胃から運ばれたものを消化する能力も低下してしまいます。
消化器官の働きがゆっくりだと、食事も以前と同じようにはできないということです。
〇唾液の分泌が少なくなる
食べ物を口の中で噛むと、唾液が分泌されてきます。
唾液は嚥下作用を助けてくれるため、唾液の分泌が少なければその分食べるのも大変になります。
しかし高齢になると唾液腺が萎縮してしまい、食べ物を食べても唾液がでにくくなってしまうのです。
また口腔内の渇きも起こりやすく、これによって口内炎や歯周病リスクも高くなります。
■食べる力に合った食事が大切
高齢者になると食べる力や飲み込む力が衰えていき、どのような食べ物でも楽しんで食べられる人よりも、食べたくても噛みにくさや飲み込みにくさから食べられないと感じる人の方が多くなっています。
また1つのきっかけから、連鎖的に食事が楽しめない事態を引き起こすこともあり、食事での楽しみが感じられない高齢者も増えています。
自分自身の噛む力に合わない食事は、食べたくても食べられないストレスを感じるきっかけにもなります。
しかし、介護施設や老人ホームではそれぞれの噛む力や飲み込む力を考慮して、楽しめる食事が提供されます。
さらに栄養バランスも整っているため、力が弱くなっても今まで通りの楽しい食事ができます。
また口から食事できることは味覚や嗅覚、視覚などの感覚を使うので刺激にもなり、食べ物を咀嚼することで脳の活性化にも繋がります。
口から食べるのはとても大切なので、食べる力に合った食事を提供して楽しさも一緒に味わいましょう。
■食事の前に工夫することは?
介護施設や老人ホームで食事を楽しむには、食事を調理する側の工夫と介助する側の工夫が必要です。
調理する側は、食事でこのような工夫を取り入れます。
- 肉や野菜、イモ類などは一口で食べられる大きさにする
- 野菜は皮をむいておき、トマトなどは皮に切り目を入れたりする
- 噛み切れない肉は叩き、皮の部分や脂身は取り除いたり切り目を入れたりする
- 野菜は歯茎でつぶせるくらい柔らかくして、隠し包丁などで噛みやすくする
- 葉野菜は葉先を使用し、根菜類は繊維を切るようにする
- なめらかに裏ごしたり、ミキサーを活用する
- 片栗粉やゼラチンなどとろみをつける
このような工夫から、食事を食べやすくできます。
また食事の介助では、安全に食べるための工夫が必要です。
食事前には、準備を整えておいてください。
〇口腔内を清潔にしておく
食事前に口腔内のケアを行います。
唾液の分泌量が減ってくると口の中が乾くだけでなく、雑菌が繁殖しやすい状態になっています。
また口腔内を整えずに食事をすると、口の中の菌が体内に入り込み、腹痛の原因などになる可能性があります。
うがいもしくは口腔ケアスポンジなどで、キレイにしてから食事を楽しみます。
入れ歯の場合は、食事の前後に洗浄するのが良いです。
〇部屋や身の回りを整える
食事前には、身の回りを整えます。
箸などを持つ手を洗い、首にエプロンをかけます。
手が洗えない場合はキレイに拭き、自室で食事する場合は部屋の換気をします。
部屋の明るさを適度にして、テレビを消して食事に集中できるようにします。
〇食事前に声掛けをする
食事の前になったら、これから食事が始めることを伝えます。
寝たきりの場合、しっかりと目を覚ましてもらわないと誤嚥につながる恐れがあります。
メニューの説明をして、食欲を刺激するなどの工夫も必要です。
〇姿勢を見直す
食事の前に食事に適した姿勢になっているかを確認します。
座って食べる場合は、足がしっかり床に付いているかを確認して姿勢を安定させます。
座った姿勢が90度になるように整えると、重力で食べたものが下にスムーズに運ばれます。
また歩行困難や寝たきりで食事をする場合、リクライニングで上体を起こして食事しやすい角度に保ちます。
背中と後頭部が直線になると危険なので、タオルやクッションで角度をつけます。
■介護施設・老人ホームの食事介助で気をつける点
介護施設や老人ホームの食事介助では、以下の点に気をつけてください。
・食事の介助者は前ではなく横に座る
食事の介助者は、介助する高齢者の横に座って食事介助を行います。
正面ではなく、横で介助することで同じ視点で見渡しながら自然な位置で介助ができます。
対面では視線を気にしてしまうため、落ち着かなくなります。
・主食や副菜などバランスよく与える
食事では、主食や副菜、汁物などを交互にバランスよく運びます。
同じものを連続してしまうと飽きるので、楽しい食事にはなりません。
また飲み込みやすくするために、途中で水分補給を行います。
・スプーンは下の角度で適した量にする
介助者は食事の際にスプーンで食事を与えますが、1回で飲み込める量の食事を口に運びます。
口の下の位置にスプーンを運ぶようにすると、自然と口に入れやすくなります。
口よりも高めにしてしまうと、首が上を向いた状態になるので誤嚥を引き起こしやすくなります。
・ペースを急かさない
高齢者は食べるスピードも遅くなります。
相手に合わせるように介助しなければ、急かされていると感じてしまい、急ぎが誤嚥を引き起こしてしまいます。
また、食事に楽しさを感じる余裕もなくなってしまうので、ペースを急かさないように気を付けます。
・食後の口腔ケアを忘れない
食後の口腔ケアも大切なポイントです。
食事が終わったら、歯磨きやうがいをします。
口の中をキレイにするまでが食事と捉えることが重要です。
介護施設・老人ホームの食事では、気をつけたい点がいくつもあります。
これらを守ることで、食事の時間が楽しい時間に変わっていきます。
また施設の食事は栄養価が高く、季節感を味わえるものも多くなります。
機能の衰えで食事が楽しくできない場合でも、適した方法でサポートすると生きがいにもなります。
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