医薬品工場の仕事内容!未経験からの挑戦やメリット・デメリットまで

医薬品工場

 

医薬品工場での仕事は、人々の健康や命を支える薬を世に送り出すという、非常に社会貢献度の高い職種です。

「未経験からでも働ける?」「具体的な作業内容は難しいの?」といった疑問を持つ求職者の方に向けて、本記事では製造工程から働く環境、メリット・デメリットまで、現場のリアルを詳しく解説します。

 

医薬品工場とはどのような職場か

医薬品工場は、私たちが日常的に手にする風邪薬やサプリメント、あるいは病院で医師から処方される専門的な治療薬などを製造する拠点です。

一般的な食品工場や機械工場と大きく異なる最大の特徴は、極めて高いレベルの衛生管理基準と品質管理が求められる点にあります。

 

医薬品は直接人の体内に入るものであり、その品質のわずかな不備が健康被害に直結する恐れがあります。

そのため、厚生労働省が定める「GMP(医薬品の製造管理及び品質管理の基準)」という厳しい公的ルールに基づいて運用されています。

このルールにより、いつ、誰が、どの機械で、どの原料を使って、どのように作ったかというすべての記録が厳格に管理されます。

 

働く環境についても、特殊な配慮がなされています。

空気中の塵や微生物を極限まで排除した「クリーンルーム」内での作業が中心です。

作業員は専用のクリーンスーツ(無塵衣)を着用し、マスク、手袋、ヘアネットを装着します。

 

入室前には入念な手洗いと消毒を行い、エアシャワーで体に付着した目に見えない塵を吹き飛ばしてから現場に入ります。

一見すると大変そうに思えますが、室内は常に一定の温度と湿度が保たれており、一年中快適な環境で働けるという側面もあります。

 

医薬品工場の主な仕事内容と詳細な工程

医薬品の製造は、大きく分けていくつかの工程に分かれています。

配属先によって作業内容は異なりますが、ここでは代表的な工程を順に詳しく見ていきましょう。

 

原料の計量と調剤工程

医薬品製造の第一歩は、薬の成分となる原料を正確に量り取ること(計量)から始まります。

主成分となる有効成分だけでなく、錠剤の形を保つための賦形剤、飲みやすくするためのコーティング剤など、多種多様な粉末や液体の原料を扱います。

 

・処方指示書(製造指図書)に基づき、ミリグラム単位で正確に計量
・計量した原料を大型の混合機に投入し、均一に混ぜ合わせる
・液体薬の場合は、溶解タンクを使用して成分を溶かし込む作業

 

この工程は薬の効き目に直結するため、間違いが許されません。

多くの工場では、計量ミスを物理的に防ぐために、バーコード管理システムや電子天秤による自動記録システムが導入されています。

作業者は機械の指示に従って正確に作業を進めることが求められます。

粉末を扱うため、防塵マスクの着用が必須となる場面も多い工程です。

 

製剤工程(錠剤・カプセル・液剤の形成)

混ぜ合わされた原料を、実際に私たちが目にする「薬の形」にする工程です。ここには高度な産業用機械が並んでいます。

 

・打錠(だじょう):粉末を強力な圧力で押し固め、錠剤の形にする作業
・カプセル充填:粉末や粒状の薬剤をカプセルに詰める作業
・造粒(ぞうりゅう):粉末を扱いやすいように粒状(顆粒)にする作業
・コーティング:錠剤の表面を薄い膜で覆い、味を隠したり、胃ではなく腸で溶けるように加工したりする作業

 

オペレーターの主な役割は、機械が正常に動いているかを監視することです。

原材料が少なくなれば補充し、機械の速度や圧力が設定通りであることを確認します。

 

また、定期的に製品をサンプリング(抜き取り)し、重さや硬さが基準内にあるかを測定器でチェックします。

不具合があれば即座に機械を止め、調整を行う判断力も必要です。

 

検査工程(目視および機械検査)

完成した製品に不備がないかを確認する、非常に重要なプロセスです。

医薬品において、異物の混入や形の崩れは絶対に避けなければなりません。

 

・錠剤に欠け、割れ、変色がないかを確認
・アルミシート(PTP包装)の中に髪の毛や塵、金属片が混入していないかチェック
・印字された使用期限やロット番号が鮮明で正しいかを確認

 

最近では高性能なカメラによる自動検査機が導入されていますが、最終的な判断や、機械では判別しにくい微細な異常については人の目による「目視検査」が行われます。

流れてくる製品を一定時間集中して見続ける必要があるため、根気と高い集中力が求められる工程です。静かな環境で黙々と作業をしたい人に向いています。

 

包装・充填工程

検査をクリアした医薬品を、最終的に消費者の手元に届く状態にする工程です。自動化されたラインが主役となります。

 

・錠剤をアルミのシートにパッキングするマシンの操作
・説明書(添付文書)と一緒に箱詰めするカートニング作業
・段ボールに梱包し、出荷ラベルを貼付する作業

 

この工程では、箱に傷がないか、説明書が入れ忘れられていないかといった「外装の品質」も重視されます。

スピード感を持って進むラインに合わせて、資材を供給したり、仕上がった製品をパレットに積んだりする作業が行われます。体力とリズム感が求められる場面もあります。

 

品質管理(QC)と品質保証(QA)の専門的な役割

製造現場とは別に、医薬品の安全性を科学的に担保する重要な部署があります。専門的な知識を活かしたい方に選ばれる職種です。

 

品質管理(QC:クオリティ・コントロール)

工場でつくられた製品を試験室で分析し、規格通りに作られているかを試験する仕事です。

 

・HPLC(高速液体クロマトグラフ)などの高度な分析機器を使用した成分分析
・微生物試験による、製品の無菌状態や衛生状態の確認
・溶出試験(薬が体内で適切に溶けるかどうかのシミュレーション)の実施

 

理系の大学や専門学校を卒業した方が多い部署ですが、手順に沿って正確に実験を進める「几帳面さ」が何より重要です。

数値一つで製品が出荷できるかどうかが決まるため、プレッシャーもありますが、科学的な裏付けを行う専門性の高い仕事です。

 

品質保証(QA:クオリティ・アシュアランス)

製造記録や試験結果を最終的にチェックし、その製品がルール通りに作られたことを「保証」して出荷判定を下す役割です。

 

・製造工程で発生したトラブル(逸脱)の原因究明と対策の承認
・工場内の標準作業手順書(SOP)の作成や見直し
・行政や取引先による立ち入り調査(査察)への対応

 

現場の作業が法規制や社内ルールに則っているかを客観的に監視するため、広い視野と責任感が求められます。デスクワークや会議も多い職種です。

 

医薬品工場で働く一日のスケジュール例

工場の勤務形態は「日勤のみ」の場合と、24時間稼働のために「交代制(シフト制)」をとる場合があります。ここでは一般的な日勤の例を紹介します。

 

・08:30:出社・更衣
専用の作業服に着替え、鏡で身だしなみをチェック。粘着ローラーで服のゴミを徹底的に取り除きます。

・08:45:朝礼・ミーティング
当日の生産目標、前日のトラブル事例、安全上の注意点などを共有します。

・09:00:午前の作業開始
クリーンルームに入室。機械の立ち上げ点検を行い、生産を開始します。資材の補充や記録の記入を並行して行います。

・12:00:昼休憩
リフレッシュルームで食事をとります。衛生管理のため、外部への出入りが制限される工場も多いです。

・13:00:午後の作業開始
午前の続きや、別の製品への切り替え作業(型替え・洗浄)を行います。切り替え時は特にミスが起きやすいため、ダブルチェックを徹底します。

・16:30:清掃・片付け・日報作成
使用した設備を念入りに洗浄します。医薬品工場では「清掃」は単なる後片付けではなく、異物混入を防ぐための重要な「業務」です。

・17:30:退社
残業は工場や時期によりますが、計画生産が基本のため、突発的な残業は比較的少ない傾向にあります。

 

医薬品工場で働く大きなメリット

他の製造業と比較しても、医薬品業界ならではの魅力が数多く存在します。求職者にとってのメリットを整理しました。

 

景気に左右されにくい安定性

医薬品は、景気が悪くなったからといって消費が極端に減るものではありません。

病気や怪我の治療に必要なものは常に求められます。そのため、業界全体が非常に安定しており、企業の経営基盤もしっかりしています。

賞与や手当、福利厚生が充実している企業が多く、長期的なキャリアを築きやすいのが最大の特徴です。

 

清潔で空調の整った快適な環境

クリーンルーム内は常に20度〜25度程度に保たれており、湿度も一定です。

夏場の猛暑や冬場の凍えるような寒さとは無縁の環境で作業に集中できます。

 

また、塵やホコリが極端に少ないため、アレルギー体質の方や喘息をお持ちの方にとっても「働きやすい」という声が多く聞かれます。

工場=汚れる、というイメージを覆す清潔な職場です。

 

社会貢献を肌で感じられる

自分が製造に携わった薬が、ドラッグストアの棚に並んでいたり、テレビCMで見かけたりしたときの喜びは格別です。

「この薬が誰かの痛みを和らげている」「誰かの命を救っている」という実感は、日々の単純作業を「価値ある仕事」に変えてくれます。誇りを持って働ける仕事です。

 

未経験からのキャリアアップが可能

専門知識が必要そうに見えますが、多くの工場では未経験者を歓迎しています。

入社後の研修制度が非常に充実しており、まずは簡単な梱包や検査からスタートし、徐々に機械操作を覚えるといった段階的なステップが用意されています。

マニュアル(手順書)が完備されているため、教えられたことを一つずつ着実にこなせば、着実にスキルアップできます。

 

医薬品工場で働くデメリットと厳しさ

良い面だけでなく、医薬品ならではの特有の厳しさも理解した上で応募することが大切です。

 

非常に細かいルールと責任の重さ

「このくらいなら大丈夫だろう」という妥協は一切許されません。

髪の毛一本、小さな汚れ一つが製品の回収(リコール)につながり、数億円単位の損害や、企業の信頼失墜を招く可能性があります。

決められた手順を1ミリも外れずに守る「規律」が求められるため、自由奔放に働きたい人には窮屈に感じられるかもしれません。

 

交代制勤務による体調管理の難しさ

多くの工場が24時間稼働のため、夜勤が発生することがあります。

夜勤手当がつくため収入は増えますが、一週間ごとに日勤と夜勤が入れ替わるような生活は、慣れるまで体力を消耗します。

自己管理をしっかり行い、睡眠時間を確保する工夫が必要です。

 

身だしなみの制限

異物混入を防ぐため、化粧、香水、ネイル、アクセサリーは原則禁止です。

また、多くの工場では髭(ひげ)を剃ることがルール化されています。

仕事中のファッションを楽しみたい人にとっては大きなデメリットになるかもしれません。

 

また、クリーンルーム内はトイレに行く際も着替え直す必要があるため、面倒に感じる場面もあります。

 

単調な作業の繰り返し

特に検査や包装の工程では、同じ作業を数時間、あるいは一日中繰り返すことになります。

変化が少なく、ルーチンワークを淡々とこなす能力が求められるため、常に新しい刺激や変化を求めるタイプの人には、時間の経過が遅く感じられる可能性があります。

 

医薬品工場に向いている人の特徴

現場のリアルな声を踏まえると、以下のような特徴を持つ人が医薬品工場で重宝され、長く活躍しています。

 

・真面目で規律を重んじる人
手順書を遵守することが何よりの仕事です。独自の判断をせず、ルールを守ることに抵抗がない誠実な人が最も向いています。

・細かい変化に気づける人
「いつもと機械の振動が違う」「製品の色がわずかに薄い気がする」といった、些細な違和感を報告できる観察眼がある人は高く評価されます。

・集中力が高い人
検査工程など、静かな環境で長時間一つの対象を見続ける必要があるため、じっくり物事に取り組むのが得意な人に向いています。

・清潔感があり、衛生意識が高い人
日頃から手洗いうがいを欠かさず、身の回りの整理整頓ができる人は、工場の文化に馴染みやすいでしょう。

 

キャリアアップに役立つ資格やスキル

製造ラインのスタッフとして入社する際、必須となる資格はほとんどありませんが、取得することで昇給やリーダーへの道が開ける資格があります。

 

・危険物取扱者(乙種4類など):アルコールなどの溶剤を使用する現場で必須となります。
・フォークリフト運転技能講習:原料の搬入や製品の出荷を担当する場合、必須のスキルです。
・乾燥設備作業主任者:薬剤を乾かす工程など、特定の設備を扱う際に必要な資格です。
・自主保全士:機械のメンテナンスを自分たちで行うための知識を証明する資格で、近年注目されています。

 

また、医薬品特有の知識である「GMP」について学ぶ意欲があれば、現場での信頼はより強固なものになります。

 

医薬品工場の求人を選ぶ際のチェックポイント

長く働き続けるために、以下の項目を事前に確認しておくことをおすすめします。

 

・取り扱っている医薬品の種類
「新薬(先発品)」は品質基準がより厳格な傾向にあり、「ジェネリック(後発品)」は多品種を効率よく作るスピード感が求められることがあります。

・工場の立地と通勤環境
工場は郊外にあることが多いため、マイカー通勤ができるか、主要駅から無料の送迎バスが出ているかを必ず確認しましょう。

・正社員登用制度の実績
派遣社員や契約社員としてスタートする場合、過去にどれくらいの人が正社員にステップアップしたかの実績を確認すると、将来のビジョンが描きやすくなります。

・食堂や休憩室の充実度
外出が制限される環境だからこそ、社内の設備は重要です。安くて美味しい社員食堂があるかどうかは、日々のモチベーションに大きく影響します。

 

医薬品業界の将来性とやりがい

これからの日本は超高齢社会に突入し、医薬品の重要性は増すばかりです。

新薬の開発だけでなく、安価なジェネリック医薬品の普及も国が推進しており、製造の現場は常に高い需要があります。

 

また、最近ではワクチン製造やバイオ医薬品といった最先端の分野も広がっており、技術の進歩を間近で感じられる点も魅力です。

 

「自分が作った薬が誰かの支えになる」というやりがいは、他の製造業ではなかなか味わえない特別なものです。

コツコツと丁寧な仕事を積み重ね、人々の健康を守る。そんな誇り高い仕事を、あなたの新しいキャリアに選んでみてはいかがでしょうか。

 

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