こんにちは!ヴェルサスのブログ担当です。
パートとして働く中で、「ノルマを達成できなければ解雇されるのでは?」と不安に感じる方も少なくありません。
特に販売や営業の仕事では売上目標が設定されることも多く、プレッシャーを感じながら働いている方もいるでしょう。
しかし、ノルマ未達成を理由にした解雇が常に正当とは限らず、法律上は不当解雇にあたる可能性もあります。
この記事では、パートに課されるノルマと解雇の関係から解雇の違法性、万が一解雇された場合の対処法まで、わかりやすく解説します。
■パートにもノルマが課される理由
パートやアルバイトなどの非正規雇用であっても、正社員と同じようにノルマを課す職場もあります。
パートは正社員と異なり、労働時間や責任が限られているのにも関わらず、厳しいノルマが設けられているケースも少なくないのです。
そもそもパートにノルマが課されるのにはどのような理由があるのでしょうか?
・コスト削減の方針で正社員の仕事がパートに移行している
人件費のコストを削減するために、正社員の仕事をパートに振り分けようとする企業が増えています。
その結果、これまで正社員が行ってきたノルマもパートに課されるようになってしまいます。
パートは正社員に比べて社会保険料や福利厚生費といった費用の負担が抑えられ、人件費を削減できるものの、その分パートにのしかかる業務負担は大きいです。
・正社員が減り、パートに即戦力を求めている
正社員が減っている企業では、パートに対して即戦力を求める傾向にあります。
短い労働時間内で高い生産性を要求する割に、企業側はあまりサポートしてくれないことも多いです。
また、あえてノルマを設定し、パート同士で競わせて成果を出させようとする場合もあります。
■パートに課せられたノルマ、達成できないと解雇になる?
パートに課せられたノルマは、達成できないと解雇になってしまうのでしょうか?
結論から言えば、ノルマを達成できなかったとしても解雇になることはありません。
正社員がノルマを達成できなくても解雇されないのと同様に、パートやアルバイトも解雇されることはないのです。
ノルマを達成できない=能力不足と判断されて解雇をされるのではないかと不安に感じる人もいますが、そもそも法的に解雇が認められるほどの能力不足は、雇用関係の維持が難しいほど重大かつ改善の見込みがない場合が該当します。
労働契約法第16条でも、解雇に対して「客観的かつ合理的な理由を欠いており、社会通念上相当と認められない場合は無効」と明示されています。
つまり、他の労働者がノルマを達成しており、自分だけ達成できていない程度の理由では、能力不足を理由に解雇するのは難しいのです。
■ノルマで違法に該当するケース
パートに対して販売数や売上目標としてノルマを設定すること自体に違法性はありません。
ただし、目標を達成できなかったからといって罰金を設けていたり、自腹を強要したりする場合は違法になります。
・目標達成できなかった場合に罰金を取られるケース
ノルマに達成できなかったことを理由に罰金を取られた場合、労働基準法第16条「賠償予定の禁止」に抵触し、違法とみなされます。
賠償予定の禁止とは、労働契約を結ぶ時に、契約違反した場合の違約金の額を事前に決めることを禁止する条項です。
例えば「ノルマ未達成の場合罰金として10万円を支払う」と雇用契約書などに明記されていたとしても、賠償予定の禁止に違反しているため無効になります。
・売れ残った商品を自腹で買い取るよう強要されたケース
小売業などで、ノルマが未達成になった際に残った商品を自腹で買い取るよう強要されるケースもあります。
これは上記の労働基準法第16条「賠償予定の禁止」に抵触するほか、第24条「賃金全額払いの原則」(賃金はその全額を労働者に支払う必要がある)にも違反しています。
さらに、刑法第223条「強要罪」にも該当します。
強要罪に関しては罰金刑ではなく、懲役刑のみです。
強要罪が認められれば3年以下の懲役刑が科されることになります。
・ノルマを達成するまで残業するよう指示されたケース
上司からノルマを達成するまで残業するよう指示されるケースもあります。
ノルマを課されていた場合でも、労働契約の時間以上に働くことを義務付けられているわけではありません。
未達成でも時間が来たら帰宅しても問題ありません。
もし残って作業をする場合は残業代を請求するようにしましょう。
■「能力不足」を理由に解雇された場合の対応
ノルマの未達成が続き、上司から能力不足を理由に解雇を言い渡されてしまった場合、どのように対応すれば良いのでしょうか?
ここで、解雇を伝えられてしまった時の対応について解説します。
・解雇通知書と解雇理由証明書を交付してもらう
解雇を口頭で伝えられた際には、解雇通知書と解雇理由証明書を交付してもらうことが大切です。
解雇通知書は企業が労働者を解雇した証明書になります。
仮に企業側が労働者の都合で退職したと言ってきても、解雇通知書を提示することで否定できます。
解雇理由証明書は、労働者から請求された場合に企業側は遅延なく交付しなくてはならない書類になります。
ここには解雇理由や種類が明記されることになるため、企業側の言い分を確定させることができます。
これにより、解雇を巡る交渉や労働審判、訴訟において重要な証拠となるので、必ず交付してもらうようにしましょう。
・労働基準監督署に相談してみる
ノルマ未達成による能力不足を理由に解雇されてしまった場合、企業側が違法に該当している可能性があります。
労働基準法に違反していると感じたら、労働基準監督署に相談してみましょう。
労働基準監督署は司法警察官の権限を持っており、是正勧告や悪質な違法行為に対しては強制捜査や逮捕などの措置が取れます。
労働基準監督署に相談することで、法的にどう対処すべきか具体的なアドバイスをもらうこともできるため、1人で悩まずにまずは労働基準監督署に相談してみましょう。
パートに対してノルマが課される場合もあり、違法性に問われない場合もありますが、未達成による罰金や自腹の強要などは違法に該当します。
もし現在働いている職場でノルマがきつく、未達成による罰金や自腹を強要されている場合は、労働基準監督署や弁護士などに相談してみましょう。
また、達成はしているもののノルマを課されること自体がツラいと感じる場合は、より良い条件で働ける職場を探してみるのもおすすめです。
ヴェルサスでは製造・物流・工場系の求人を中心に、短期で働ける仕事から中長期の求人まで、豊富に取り揃えています。
キャリアアドバイザーがあなたに適した職場探しをサポートするので、まずはお気軽にご相談ください。