複数の職場で働いている場合、収入の総額を計算する必要があるので個人で確定申告を行う必要があります。
メインの勤務先以外からの収入が、1年間で20万円以上の場合に必要になってきます。
この記事では、掛け持ちで確定申告が必要なケースや確定申告の方法などをご紹介します。
■アルバイトやパートの掛け持ちは確定申告が必要?
確定申告と聞くと、アルバイトやパートとして働く人には無関係のように感じるかもしれません。
実際に、アルバイトやパートとして働く人でも必要なケースが存在します。
確定申告が必要なケースは源泉徴収の有無に関係なく、年間の収入が103万円以上の人が対象です。
例えば、複数の場所でアルバイトとして働いていて合計した年収が103万円以上であれば確定申告しなければなりません。
また、年末までに辞めた仕事がある場合も確定申告が必要になります。
アルバイト先の1つに扶養控除等申請書を出して源泉徴収されている場合でも確定申告が必要です。
もし、掛け持ち先が複数あっても年収が103万円以下であれば、確定申告する必要はありません。
これが控除によって課税されないからですが、アルバイト先で税金が徴収されている場合は103万円以下でも税金の還付が受けられます。
そのため、確定申告をした方が良いでしょう。
■確定申告の方法は?
アルバイトやパートを掛け持ちしている場合、就業先の給与明細を用意して確定申告書類に記入していきましょう。
ここでは、確定申告の方法についてご紹介します。
①確定申告の時期に行う
確定申告は期限が設けられています。
毎年2月16日~3月15日までの期間で行われていて、管轄の税務署に行って確定申告をします。
還付申告に関しては、1月4日から可能です。
確定申告が初めての場合、順番に記入していくだけでもわからない点があるでしょう。
このような場合は、記入していかずに教えてもらいながら書くこともできるので安心です。
近年は、e-Taxが主流になってきて、インターネット上で申告書を作れます。
この場合は、書類を税務署に提出する必要がなく、スマホやパソコンから入力するだけで完了するのでおすすめです。
②必要な書類を用意する
確定申告には、以下の書類を用意しましょう。
◎確定申告書
国税庁のサイトにある確定申告書に必要な項目を記入して提出します。
◎源泉徴収票
働いている先から受け取ります。
複数勤務している場合は、勤務先の数だけ必要です。
◎控除証明書
生命保険料控除証明書、国民健康保険料等控除証明書、火災保険などの証明書から控除が受けられます。
どれも申告する年度のものが必要です。
◎本人確認書類
マイナンバーが記載されている住民票の写し、運転免許証などが必要です。
◎銀行口座番号
還付金がある場合は、自分名義の口座が必要です。
③確定申告の手順通りに行う
これらが用意できたら確定申告を行います。
申告書には、2社以上のアルバイトでの合計の収入を記載します。
控除を受ける場合は、確定申告書作成時に計算してから記入していきます。
上記で紹介した書類を持って管轄の税務署に提出しますが、わからない点に関してはその場で聞くことも可能です。
e-Taxであれば、自宅で簡単に申告できるので便利でしょう。
■確定申告しないとどうなる?
もし、確定申告をしなかった場合はどうなるのでしょうか?
もちろん、還付されるものが受け取れないのは当然ですが、他にもペナルティが発生します。
ここでは、どんなペナルティになるのかをみていきましょう。
・無申告加算税
無申告加算税は、期限内に確定申告をしなかった場合に課されるものです。
加算税に関しては、納付すべき税金に応じて変わってきます。
◎納付すべき税額
・50万円以下:15%
・50万円超300万円以下:20%
・300万円以上:30%
確定申告すべき期限から1ヶ月以内に自主的に確定申告をした場合は、期限後申告になりますが、無申告加算税は徴収されません。
期限内に申告の意志があった場合も対象外になります。
しかし、できる限り早めに申告する必要があるでしょう。
・遅延税
期限が過ぎた後に確定申告した場合は、遅延税が発生します。
遅延税は、期限の翌日から申告、納付されるまでの日数によって変わってきます。
遅延税の計算方法は以下のとおりです。
(納付すべき税額)×(延滞税の割合)×(日数)=延滞税額
遅延税は、年間7.3%もしくは延滞税特例基準割合+1%のどちらか低い方が適用されます。
延滞税特例基準割合は年間2.4%となります。
期限の翌日から2ヶ月経過すると、年間14.6%もしくは延滞税特例基準割合+7.3%のどちらか低い方が適用されます。
この場合の延滞税特例基準割合は年間8.7%です。
・過少申告加算税
確定申告したものの、申告や納付した税額が納めるべき額よりも少なかった場合のペナルティです。
申告した税金が少ないことに気が付いた場合は、できるだけ早く修正申告しなければなりません。
税務署の調査後に修正申告したり、誤りを正されたりした場合は、新たに収める税金の他に過少申告加算税がかかってきます。
この税率は、新たに納める税金の10%となります。当初の申告納税額と50万円といずれかの多い金額を超えている場合、超えた部分に対しては15%に変わります。
・重加算税
納めるべき税金を意図的に隠した場合は、重加算税というペナルティが加わります。
会社に内緒で掛け持ちしている、副業で儲かっているなどの場合、この収入があったことを確定申告しなければ重加算税に該当するかもしれません。
重加算税には虚偽の申告や帳簿の改ざんも対象です。
過少申告の場合は、過少申告税に加えて本来納めるべき税額に35%、無申告なら無申告加算税に加えて40%が入ります。
5年以内に無申告加算税もしくは重加算税を課された経験があると、それぞれ10%の加算も加わります。
追徴課税を納付しないままにすると、財産の差し押さえになる可能性もあります。
アルバイトやパートであっても掛け持ちしている場合は、全てを含めて確定申告が必要です。
しかし、本業の他に働いている場合は確定申告が面倒に感じるだけでなく、言わなくてもバレないだろうと考えるかもしれません。
しかし、税務署から調査を受けると税額が増えてしまう可能性があるので、毎年自分で忘れずに行うのが良いでしょう。
ヴェルサスでも、掛け持ちの方には確定申告や働き方にアドバイスをしています。
不安な点があれば、お気軽にヴェルサスにご相談ください。