パートやアルバイトでも休業手当は受け取れる?算出方法や休業補償との違いを解説

 

こんにちは!ヴェルサスのブログ担当です。

パートやアルバイトとして働いていると、閑散期や資材不足などの理由によって休業を言い渡されることも珍しくありません。

仕事が休みになるのはいいけれど、給料が減るのは困るという方も多いでしょう。

そんな時に頼れる制度が、「休業手当」です。

今回は、休業手当の基礎知識や支給額の算出方法について解説していきます。

 

 

■休業手当の基本的なルールについて

 

まずは、休業手当とはどういった制度なのか、また支給額の算出方法について解説します。

 

 

・休業手当とは?

 

休業手当とは、企業側の都合で仕事が休みになった場合に支給される手当のことです。

労働基準法第26条では、休業手当という制度に関して以下のように定められています。

 

“使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当てを支払わなければならない。”

 

「使用者の責に帰すべき事由」には、以下のようなケースが挙げられます。

 

・経営不振

・資金不足

・工場や設備、機械の不備・欠陥

・資材不足

・従業員不足

・在庫過多による操業短縮

・雇用主の故意や過失による休業

 

これらの理由で企業側から休業を指示されて仕事を休んだ場合、パートやアルバイトなども含めてすべての従業員が、平均的な給料の60%以上の手当てを受け取れることになっているのです。

なお、地震や台風などの天災で休業になった場合は不可抗力とみなされ、「使用者の帰すべき事由」には該当しません。

 

 

・休業手当の支給額の算出方法

 

先ほども述べた通り、休業手当の支給額は平均賃金額の60%以上です。

ここで言う平均賃金とは、基本給のことではないので注意しましょう。

平均賃金を算出する計算式には、以下の2通りがあります。

 

 

①原則

 

「休業開始日直前の賃金締切日から遡る3ヶ月間に支払われた賃金総額÷3ヶ月間の総日数(暦日数)」

 

 

②最低保障(時給・日給・出来高制の場合)

 

「休業開始日直前の賃金締切日から遡る3ヶ月間に支払われた賃金総額÷3ヶ月間の総日数(暦日数)×0.6」

 

時給制や日給制、出来高制の場合には、①と②を比較して高い方を平均賃金として、休業手当を算出します。

賃金総額には、通勤手当や残業手当、住宅手当などの各種手当も含まれます。

ただし、傷病手当や結婚手当などの臨時で支払われた賃金、3ヶ月以上の間隔で支払われる賃金は除きます。

また、産前・産後や育児、介護、病気療養などで休業した日数および試用期間は総日数から除き、その休業間中に受け取った手当は賃金の総額から控除します。

 

 

■休業手当の支給額をシミュレーションしよう

 

休業手当の支給額の算出方法が分かったところで、ここでは2つのケースを例に休業手当の支給額をシミュレーションしていきます。

 

 

【ケース①】

 

・毎月20日が賃金締切日

・「使用者の帰すべき事由」により9月15日から休業

・休業期間中の所定労働日数14日間

・休業開始日以前の3ヶ月間に支払われた賃金総額が62万円

・休業手当は平均賃金の65%とする

 

この場合、直近の賃金締切日は8月20日なので、8月20日から遡って3ヶ月間の平均賃金をもとに休業手当の支給額を算出します。

すると、1日当たりの平均賃金は、「賃金総額62万円÷91日間(5月21日~8月20日)=1日の平均賃金6,813.18円(小数点第二位未満は切り捨て)」となります。

休業手当は平均賃金の65%としているので、このケースで受け取れる休業手当の総支給額は以下のようになります。

「6,813.18×65%×14日間(休業日数)=休業手当62,000円(円未満の端数は四捨五入)」

 

 

【ケース②】

 

・日給8,000円、通勤手当400円/1日

・毎月20日が賃金締切日

・「使用者の帰すべき事由」により9月15日から休業

・休業開始日以前の3ヶ月間の労働日数が合計で30日間

・休業期間中の所定労働日数10日間

・休業手当は平均賃金の65%とする

 

このケースでは、原則の計算と最低保障の計算を両方行い、高い方を平均賃金として休業手当の支給額を算出します。

 

・原則による計算「賃金総額252,000円÷91日間(5月21日~8月20日)=12,769.23円」

・最低保障「賃金総額252,000÷30日間×0.6=5,040円」

 

上記の計算によって、最低保証金額の方が高くなることが分かりました。

従って、1日の平均賃金を5,040円として休業手当を算出すると、総支給額は以下のようになります。

 

「5,040円×65%×10日間(休業日数)=休業手当32,760円」

 

 

■休業手当と似ているようで違う休業補償について

 

最後に、休業手当と混同されがちな休業補償についても解説します。

休業補償とは、勤務中の事故や業務が原因の怪我・病気などで、賃金を受け取れない期間に受け取れる保険給付のことです。

最初に解説した通り、休業手当が受け取れるのは、会社都合で休業した時のみです。

対する休業補償は、事故や天災などの様々な理由で、やむを得ず休業しなければならなくなった時に支給されます。

正社員だけでなく、パートやアルバイトなど、労働保険に加入している人は全て対象となっており、条件を満たせば誰でも休業補償を受けられます。

なお、業務災害で休業補償を受けるには、以下の条件を満たす必要があります。

 

・業務災害による怪我または病気の療養中であること

・療養中のため労働できない状態にあること

・会社から賃金が支払われていないこと

・業務災害の発生から3日間の待機期間が過ぎていること

 

待機期間が経過する前に職場復帰した場合は、休業補償の対象にはならず、また待機期間中も休業補償は受けられません。

労働基準法によって、待機期間中は会社が補償することと定められています。

同じ労災でも、通勤中の事故などは通勤災害と呼ばれ、休業給付での補償となります。

休業補償とは要件が異なるので注意しましょう。

 

 

急に、「仕事がないから今週は休んでもらえる?」と言われても、収入を考えると手放しでは喜べない方も多いでしょう。

しかし、会社都合で仕事を休むことになった場合は、雇用形態を問わず休業手当の支給対象となるので、過度に心配する必要はありません。

また、仕事の怪我や病気で働けなくなった時には、休業補償の申請が可能です。

ただし、休業手当も休業補償も支給額は直近の給料の平均額で計算されるため、高時給で働いている方の方が、給付額が多くなります。

ヴェルサスでは、高時給のパートやバイトの求人もたくさん扱っているので、ぜひ利用してみてください。