こんにちは!ヴェルサスのブログ担当です。
パートタイム労働は柔軟な働き方を実現できる一方で、契約期間の満了時に「契約を更新するか」「終了するか」の判断が求められます。
契約更新をしない場合、労働者にとっては「どう伝えれば角が立たないか」という悩みが生じ、企業側にとっては「どのような理由であれば正当性が認められるか」「トラブルを避けるにはどうすれば良いか」という課題が浮かび上がります。
特にパート契約は人間関係や職場環境に直結するため、伝え方ひとつで双方の印象やその後の関係性が大きく変わってしまいます。
そこで今回は、労働者側が契約更新を断る際の適切な理由や伝え方、企業側が契約更新を行わない際の説明の仕方や正当な理由について、双方の視点からわかりやすく解説します。
■【労働者視点】契約更新をせずに円満に辞める方法
パートで働いている人の中には、事前に働く期間が決められている「有期労働契約」で働いている人もいるでしょう。
有期労働契約の場合、契約満了前に更新するかどうかを企業・店舗と話し合うことになりますが、もし契約満了に伴い更新をせず辞める場合、どのように伝えれば円満に辞められるのか悩む人もいるはずです。
円満に辞めるためのポイントとして確認しておきたいのが、「退職する意思をどのタイミングで伝えるか」です。
各企業・店舗によって雇用契約書に明記されている期限が異なります。
例えば、契約期間が満了する1ヶ月前までに申し出ることと定めているところもあれば、60日前までに申し出る必要がある職場もあります。
この期限を過ぎてから退職の意思を伝えてしまうと、引き継ぎなどの影響で円満な退職にならない可能性があるので注意してください。
もう1つのポイントとして、退職の意思はできるだけ対面で伝えることも大切です。
メールやLINEで伝えることもできますが、最後まで礼儀を心がけ、丁寧に伝えることで円満な退職につながります。
いきなり対面で伝えるのではなく、直属の上司や店長に対して事前にアポイントを取っておき、時間を取ってもらって退職の意思を伝えるようにしましょう。
どうしても時間が合わず、電話で伝えることになってしまった場合でも、「直接お伝えできず申し訳ありません」と一言添えるようにしてください。
■【労働者視点】角が立ちにくい退職理由
退職する理由がネガティブなものだった場合、そのまま伝えてしまうと円満退職につながらない可能性もあります。
周囲の人も納得してもらえるような、退職理由を伝えるようにしましょう。
・家庭と仕事の両立が体力的に厳しい
・持病が悪化し、医師から療養が必要と診断を受けた
・家庭の事情で現在のシフトで仕事をすることが難しくなった
・子どもが遠方の学校に進学することになり、登下校や部活の送迎で忙しくなった
・親の介護が必要になり、パートとの両立が難しくなった
・夫の転勤に伴い、引っ越しすることが決まった
・これまでずっと興味のあった仕事に挑戦できる機会を得られた
■【企業視点】パートの契約更新をやめるには?
パート従業員は契約更新を望んでいるものの、企業や店舗側は契約満了を機に更新をやめたいと考える場合もあるでしょう。
この時、伝え方などを間違えてしまうと労働者とトラブルに発展する恐れがあります。
まずは契約更新を3回以上、または雇用期間が通算1年を超えた有期雇用契約者に対しては、契約満了日の30日前までに雇い止めの予告をする必要があります。
早めに伝えておかないと本人の生活や転職活動に支障をきたす可能性もあるため、早めに面談を設けることが大切です。
また、契約更新をしない旨を伝える際には、相手に誤解を与えないようはっきりと更新しないことを伝えることも重要となってきます。
ただし、有期労働契約であっても、労働契約法第19条に伴い一定の要件を満たす場合は雇い止めが制限されることになります。
雇い止めが制限される要件は、以下の3つです。
・労働者から有期労働契約更新の申し出がある
・有期労働契約が実質的に無期雇用契約とほぼ変わらない状態にある、または契約が更新されると期待することに合理的理由がある
・雇い止め自体に客観的かつ合理的な理由がなく、社会一般から見ても相当と認められない
■【企業視点】契約更新しない場合の正当な理由について
パート従業員に契約更新しないことを納得してもらうためには、契約期間の満了以外に客観的かつ合理的な理由がないと、雇い止めは無効と判断される可能性があります。
契約更新しない場合の正当な理由を求められることもあるため、以下の例を参考にしつつ正当な理由を考えておきましょう。
・更新しないことについて前回の契約更新時に合意していた
・契約締結時に設けた更新回数の上限に関わってしまう
・担当業務が中止または終了した
・事業を縮小させる
・業務遂行能力が不足していると立証されている
・職務命令に対して違反行為や勤務不良が多くみられた
例えば以前の契約更新時に、次の契約満了時に更新しない旨を前もって伝えておけば、正当な理由として認められることもあるでしょう。
従業員に契約更新を期待させないように伝えることで、正当な理由として認められやすくなるのです。
また、パート従業員に対して職務命令を行っているのに違反行為がみられたり、遅刻や無断欠勤が多いなど、改善指示を出しても全く改善されなかったりする場合は、契約更新をしない正当な理由として認められる傾向にあります。
パート契約の更新を断る場面では、労働者と企業の双方にとって適切な理由と伝え方が欠かせません。
労働者側は「家庭の事情」「就業条件の不一致」など率直かつ具体的な理由を丁寧に伝えることが円満な退職につながります。
一方で企業側は、業務量の減少や人員体制の見直しなど客観的で合理的な理由を明示し、法的リスクを避けながら誠実に対応することが重要です。
いずれの場合も、誤解や不信感を生まないよう、事前に準備し、相手への配慮を忘れずに伝えることが円滑な契約終了につながるでしょう。
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