こんにちは!ヴェルサスのブログ担当です。
厚生労働省は、新型コロナウイルス関連による解雇や雇止めは見込みを含め、累計で10万人に迫ると発表しました。
いわゆる「コロナ解雇」は正社員も例外ではなく、多くの人が解雇を告げられています。
しかし、コロナを理由とした解雇は違法ではないのでしょうか?
■現状のコロナ解雇の実態は?
新型コロナウイルスの感染拡大により世界経済は大きな打撃を受け、それは日本も例外ではありませんでした。
外出自粛要請や緊急事態宣言の発令などにより日本の経済活動が停滞したことで多くの企業が経営不振に陥り、従業員を解雇せざるを得なくなる、いわゆる「コロナ解雇」が急増してしまいます。
厚生労働省の発表によれば2021年4月1日時点で新型コロナ関連による解雇や雇止めは、見込みを含めると累計で10万人に迫るとしており、その影響の大きさがうかがえます。
都道府県別では東京都が2万人超、大阪府が約9,000人、愛知県が約5,500人、神奈川県が約4,300人、北海道が約3,400人と続きました。
ただし、これらの数は全国の労働局やハローワークで把握できている部分に限られているため、実際にはもっと多いとみられています。
また、解雇後に再就職した場合についても数に含まれている可能性があるともしており、いずれにせよ深刻な問題であることには変わらないでしょう。
■コロナ解雇が多い業界・職種は?
コロナ解雇が多いのはサービス業界が中心といわれています。
感染拡大が起きやすいとの懸念から、飲食業や娯楽業、観光業などに休業要請が出たことが大きな原因と考えられます。
また、海外からの観光客が途絶えたことでホテル業界や小売業界やメーカーなど、インバウンド需要の大きかった業界にも大きな影響が出たようです。
関連して、金融やインフラ、ITや商社といった業界でもコロナ解雇が起きていることから、改めて経済への影響の大きさを感じられる結果となりました。
■コロナ解雇は違法じゃないの?
コロナ解雇の多くはパートやアルバイトといった雇用形態で起こりました。
ところが、安定した雇用が約束されたはずの正社員でもコロナ解雇は起きています。
その割合はパートやアルバイトよりは低いものの、派遣社員や契約社員よりも高いという調査結果も出ており、大きな波紋を呼んでいます。
○コロナ解雇は違法?
コロナの影響により企業の経営状態が悪化した場合、経営者は企業を存続させるために従業員を解雇せざるを得ません。
日本のみならず世界規模で大きな影響を与えた感染症が原因となれば経済の回復時期を予測することは難しいでしょう。
長引けば長引くほど経営状態は悪化してしまうため、苦渋の決断だったことは想像に難くありません。
しかし、コロナを理由とした解雇を言い渡された人たちの中には不満を持つ人もいることでしょう。
コロナ解雇は違法ではないのでしょうか?
○そもそも解雇とは?
解雇とは、経営者からの申し出により、一方的に労働契約を終了することをいいます。
ただし経営者が自由に行えるものではなく、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合には解雇できないことが法律で定められています。
そのため、経営者が解雇を言い渡す場合は客観的に納得できる理由が必要です。
○納得できる理由とは?
では、解雇が客観的に納得できる理由とは、どんなものが挙げられるのでしょうか?
経営者が経営不振などを理由として人員整理のために行う解雇を「整理解雇」といいます。
コロナ解雇は主にこの整理解雇が該当するといえるでしょう。
しかし、整理解雇と判断するためには次の4つの要素を満たす必要があり、1つでもかけていると判断された場合は解雇を無効とする裁判例もあります。
【人員削減の必要性】
経営不振などによって経営上確かに解雇による人員整理が必要であると証明できるか
【解雇回避の努力】
希望退職者を募る、配置転換をするといった解雇を回避するために経営者が努力したか
【人選の合理性】
客観的で合理的な基準をもって解雇対象者を選定したか
【解雇手続きの妥当性】
該当する従業員や、労働組合に対して解雇の必要性や時期、方法について納得できる説明を行ったか
今回の新型コロナウイルス感染拡大については、従業員への休業手当の支払いに充てられる助成金を国から受け取れる支援制度「雇用調整助成金制度」があります。
【解雇回避の努力】では、企業はそのような制度の活用をしたのかといった解雇の有効性が判断されるでしょう。
実際に政府は雇用調整助成金について特例措置を実施したり、経営相談窓口を設置したりするなどして可能な限り従業員の雇用を維持するように呼び掛けています。
■コロナ解雇にあったらどうしたらいい?
では、実際にコロナ解雇を言い渡されてしまったら、どうしたらいいのでしょうか?
○解雇理由証明書を要求しよう
コロナ解雇を言い渡されたら、まずはその場で解雇の理由を説明してもらいます。
コロナで経営が悪化したから、と告げられたら「解雇理由証明書」を要求しましょう。
書面で理由を明らかにすることは法令で定められた経営者の義務であり、拒むことはできません。
後になって解雇理由を追加されるおそれがあるため、なるべく早いタイミングで入手しておきましょう。
○各種手当の受給手続きをしよう
コロナの影響で失業した人には失業保険の特例が設けられています。
一部例外はありますが、条件を満たせば受給期間が60日間延長されました。
さらに、本来であれば自己都合による退職の場合、7日間の待機期間ののち3ヶ月の制限期間を待たなければ給付は受けられませんでしたが、特例によりすぐに支給を受けられることになりました。
コロナ解雇が増える中、各種制度による支援体制も整ってきました。
手続きを行えばすぐに給付を受けられるものも多いのでハローワークなどに相談するといいでしょう。
また、即時解雇である場合は「解雇予告手当」を請求することも可能です。
■正社員でもコロナ解雇にあうことがある
新型コロナウイルスの感染拡大は、コロナ解雇という厳しい現実をもたらしました。
経済活動の停滞は多くの企業の経営状態を悪化させており、従業員の雇用維持が難しくなっています。
やむを得ずコロナ解雇を受けた場合は各種支援制度を活用しましょう。
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