2028年からパートの雇用保険加入者が増えるって本当?その背景などを解説!

 

こんにちは!ヴェルサスのブログ担当です。

2024年5月10日の国会で、2028年10月から短時間労働者も雇用保険に加入できる法案が可決したことをご存じですか?

まだ先の話ですが、関係があるという方も少なくありません。

そこで今回は、雇用保険の適用拡大について解説していきます。

 

 

■雇用保険とは?

 

雇用保険は、社会保険の1つに含まれているものです。

失業・育児・介護などで一時的に仕事ができない時、教育訓練を受講する時に、労働者の所得を一定額補償してくれます。

業種や規模に問わず、全てが雇用保険の適用事業となっています。

現在の雇用保険の加入条件は以下の通りです。

 

 

・31日以上の継続した雇用見込みがある

 

期間の定めがない雇用、雇用期間が31日以上、雇用契約に更新規定があって31日未満での雇止めが明示されていないといった場合が当てはまります。

また、雇用契約に更新規定がなくても、同じ雇用契約で雇用された方が31日以上雇用された実績がある場合も該当します。

 

 

・所定労働時間が週20時間以上となっている

 

所定労働時間は、就業規則や雇用契約書で定められている勤務時間です。

所定労働時間が複数の週や1ヶ月単位、1年単位で決められている場合もあります。

 

 

・学生ではない

 

学校教育法第1条と第124条もしくは第134条第1項の学生・生徒は、昼間学生と呼ばれていて、雇用保険の被保険者になることはできません。

ただし、卒業が決まっていて卒業後も同じ事業所で働く予定となっている、休学している、などの例外もあります。

 

 

■雇用保険の適用拡大を検討しているのはなぜ?

 

現在の雇用保険は、前述した条件があるため、パートやアルバイトで短時間勤務している場合は加入対象とならない場合があります。

しかし、2024年5月10日に政府は雇用保険の対象者を週20時間未満の人まで拡大することを決めました。

財政制度等審議会では、勤務時間が短くても失業給付や育児給付などを受けられるような体制を早急に整備すべきとしています。

また、勤務時間が20時間未満の労働者の数も増加しています。

人材不足を補うためにも、非正規労働者の支援は大きなポイントになると考えられるでしょう。

雇用保険の適用拡大が検討される理由には、リスキリングの必要性や仕事・育児の両立支援、非正規労働者に対するセーフティネットといった点も挙げられます。

 

 

・リスキリングの必要性

 

リスキリングは、転職するためまたは現在の仕事で必要なスキルを身に付けて適応するためにスキルを獲得することです。

スキルを学び直し、安心して転職活動が行えるようにするには、自己都合離職者が失業を受給する際の要件緩和など雇用のセーフティネットを強化する必要があります。

 

 

・仕事・育児の両立支援

 

仕事・育児の両立支援は、少子高齢化に歯止めをかけるために必要な施策です。

子どもを持たない世代が増えている背景には、近年の物価高や増税などで明るい将来を望めないといった理由があります。

子どもを望んでも授かれない場合もありますが、中には子育てにお金がかかるから不安で積極的になれないといった声も少なくありません。

そのような状況から抜け出すためにも、雇用保険の適用拡大によって失業手当や育児休業給付金を受け取れる層が増えるメリットは大きいと言えます。

 

 

・非正規労働者に対するセーフティネット

 

非正規労働者に対するセーフティネットは、正規雇用と比べて処遇が良くない傾向があるという状況を打破するためのものです。

雇用保険の適用拡大により、選択肢が増え、非正規労働者の生活を守ることにもつながります。

 

働き方が多様化している現在、正規雇用よりも非正規雇用の方が多くなっています。

そのような状況下において、誰もが安心して暮らせる環境を作るためにも、この改正は重要だと言えるでしょう。

 

 

■適用拡大によるメリット・デメリット

 

適用拡大が実現すると、アルバイトやパートといった非正規労働者が恩恵を受けられるようになります。

ただし、デメリットだと感じてしまう部分もないとは言い切れません。

最後に、どのようなメリット・デメリットが生まれるのかみていきましょう。

 

 

【メリット】

 

メリットには、離職した場合に失業給付を受けられるという点があります。

失業給付は、求職者給付・就職促進給付・教育訓練給付・雇用継続給付の4つです。

それぞれで受けられる手当は以下の通りです。

 

 

・求職者給付

 

基本手当(失業手当)

技能習得手当

寄宿手当

傷病手当

高年齢求職者給付金

特例一時金

日雇労働求職者給付金

 

 

・就職促進給付

 

就業手当

再就職手当

就業促進定着手当

常用就職支度手当

移転費

求職活動支援費

 

 

・教育訓練給付

 

教育訓練給付金

教育訓練支援給付金

 

 

・雇用継続給付

 

高年齢雇用継続基本給付金

高年齢再就職給付金

育児休業給付金

介護休業給付金

 

失業した時に生活費を補助してもらったり、出産・育児・介護で休まなければならない時に有夫を受けられたりします。

パートやアルバイトでも職を失ってしまったり、家族のサポートをするために仕事が出来なくなったりする可能性があります。

教育訓練給付もあるので、リスキリングしてから次の職場を探したいといった場合にも、雇用保険に加入することで得られるメリットは大きいです。

 

 

【デメリット】

 

雇用保険に加入するデメリットは、保険料を支払わなければならないという点です。

雇用保険料は、“雇用保険料率×賃金総額”で算出され、毎月の給与から天引きされます。

適用拡大となった場合、週20時間未満の勤務をしている人も保険料を支払うことになります。

年収が100万円の場合、2024年度の雇用保険料率は労働者負担が0.006%なので、年間およそ6,000円の保険料を支払わなければなりません。

 

雇用する側は、短時間勤務の労働者に対しても雇用保険の手続きを新たに行う必要があります。

そのため、事務作業の負担が増えてしまうでしょう。

つまり、デメリットは労働者側にも雇用者側にもあると言えます。

 

 

2028年10月から短時間勤務であっても雇用保険に加入することになる可能性が高いです。

メリットもありますがデメリットもないわけではないので、あらかじめ把握しておくことをおすすめします。

ヴェルサスでは、雇用保険の加入手続きを適切に行ってくれる働き先をご紹介します。

アルバイトなど短時間勤務を希望している方は、ぜひヴェルサスまでお気軽にお問い合わせください。